記憶をテーマにした“Caretaker”から
「健忘」と名付けられた1枚が到着。
ストライプジャケットをメディウムに、
耐水性顔料で記憶をイメージした極彩色のペイントの上を、ニューロンとシナプスを模したボタンと糸が有機的に覆いマス。
生地を焼くバーニング加工まで施された1枚。
「僕らの方で過去を飾るのではない。過去の方で、僕らに余計な思いをさせないのだ」
サイズ:
肩44cm 袖丈60cm 身幅50cm ウェスト45cm 着丈72cm
黒に近く、ネイビーとパープルにも見えるコットン・ベロアの生地。
ポリエステルの総裏地の為、洗いをかけてマス。
「ある部分ははっきりしているけど、その細部はいまだに埋もれたままで、どこか遠くにある」
アムネジアとは、
1670年代から英語で使われたギリシャ語が語源で、「気を配る」「記憶」と「間違いの忘却」と云ふ意味合いがあるそうで、
「過去の違反に対する統治権者の恩赦」と云ふ意の
amnestyと語源を同じくして「忘却(特に悪事の);恩赦」と同じ含意があるのわ非常に興味深い事です。
Amnesiaの意味を省みた時、
クリストファー・ノーランの映画『メメント』ほど、この言葉を的確に捉えたものはないように思われマス。
日々の膨大な情報と社会のスピードの中で
記録しろ、写真を撮れ、目的へ、動き続けろ
「あんた誰だ?俺は?」
「次のようにいう事は可能だろうか。すなわち、われわれは今、理論上の純粋な前向性健忘症のひとつの形に苛まされていると」
人にはその生涯の全記憶があると云ふ。
然し、生活に必要なその情報や運動だけを司る器官の脳わ、普段そこに意識を傾けることはない。
つまり忘れるとは、
意識的と言い換えることも、脳の意志とも云ふ事が可能であり、
畢竟、その運動の場である私たちの生活や社会を取り巻く環境の所為と云ふかしらん。
「奇妙なことに思われるかもしれないが、現代という時代に充満しているノスタルジーのかたちは恐らく、過去に対する熱望ではなく、新たな記憶を生み出すことができなくなっていることとして、最もはっきりと特徴づけられる」
過去の記憶や経験が精神や人格を司り人と為す。
忘れてしまいたい罪がない人などいない
しかし忘却とは、救済たりえるか。
頭ではない、こころがこたえる。
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